1 月 22 日、木曜日。会社を午後おやすみにして、東京国際フォーラムのホール A で開催された Distant Worlds: music from FINAL FANTASY THE JOURNEY OF 100 に行ってきた。
“music from FINAL FANTASY” と題されている通り、ファイナルファンタジーシリーズの音楽のコンサート。
幼少期はあまり TV ゲームでは遊ばなかったおかげで、ふぁみこん時代の FF は触ったことがない。そのうえ VII から IX しか経験がないという、言ってしまえばニワカ的なアレだけれど、それでも FF は好きなゲームのひとつ。とくに VII。
そんなわけで、東京フィルハーモニー交響楽団さんの生演奏を巨大スクリーンによる映像上映とともに楽しめるらしいこのコンサートは、予約してからというものほんとうに楽しみだった。もちろん S 席。
……で、個人的には、”音楽” を聴きに行ったつもりだったのだけれど……。
でも、蓋を開けてみれば “超贅沢なプロモーションビデオ観賞会” という感じだった。
例えていうなら “同窓会” に近い。会場がレストランだからって “料理” を目的に同窓会に参加してもイマイチなのと同じで、この手のイベントも、コンサートだからって “音楽” を第一目的にするべきではないのかもしれない。モチベーションは “回顧” に見るほうがよいのかなと。
楽しかったは楽しかったけれど、でもちょっと残念。
というのも、とくに PA が微妙だったから。”生演奏” と “生音” は、やっぱりぜんぜん違うのよね。
聴こえなくていい雑音、具体的には譜めくりの音や衣装の擦れる音までばっちり拡声されてしまっていたし、あとはコーラスのバランスも悪かったし……。コーラスはそもそもだいぶズレていたので、周りの音が聴きづらくて歌いにくかったんだろうなあって気がしている。音の細さと狭さも気になった。
いや、技術的にはアレだけのハコでアレだけの音がつくれればちょーすごいとは思うのだけれど…… でも根本的に東京国際フォーラムなんていう “コンベンションセンタ” で合唱付きのオーケストラって、そもそもの会場の選択にちょっと無理があるよね、って思わざるを得ない。そんな具合。
無茶を承知で言えば、仮に一万人分の集客力がある場合、『キャパシティ 5,000 のコンベンションセンタで PA アリの公演を二回』よりは『キャパシティ 2,000 の “コンサートホール” で PA ナシの公演を五回』のほうが理想ではある。”音楽” をウリにするならなおさら。
もちろん、巨大スクリーンのあるコンサートホールなんてすごく少ないだろうし、一回でたくさんひとを呼べた方がストレートに言えば利益率は上がるだろうから、商業的には間違っていないとは思うのだけれど。当然、楽団さんはじめ関係者のスケジュールもあるわけだし。
それでもやっぱり S 席で 9,000 円という海外のまっとうな楽団の来日公演並みの値段設定であるなら、それならそれでそれに見合うだけの音楽は聴かせてもらいたかった。
あの人たち、ほんとうはもっとうまいはず。もったいない。惜しい。よいホールで生音で聴きたかった。
PA 以外でも、一曲めのプレリュードの冒頭、ハープとコーラスが始まったときは、正直このクオリティで最後まで行ったらどうしようと言葉通り悪い意味でたいそう不安にもなったけれど……。
とはいえゲーム音楽って、ゲーム音楽単体としての価値もさることながら、それにまつわる個々人の記憶や思い出があるからこそのコンテンツでもある。だから “コンサート” ではなく『音と映像で昔を懐かしむ』ためのイベントだと割り切ってしまえば、書いたとおり『超贅沢なプロモーションビデオ観賞会』としてとても楽しいイベントだったのは事実。
Liberi Fatali とかバトルメドレーとか、片翼の天使とか。アンコールのアレも。音の数が増えると映像効果と合わさって迫力が出てくる(ごまかしが効きやすいってことでもあるんだけどね)し、ボーカルのある曲はボーカルさんのしっとりとしたうたに映像の空気がよく馴染んでいたし、このあたりはプロモーションとして、あるいは映像作品として秀逸な出来だなあと。
ああ、もう一度あそびたいなあと、もういちどサウンドトラックを聴きたいなあと、あそんでいた当時のわくわく感や興奮がふんわりと浮かんできて、そう思った。満足。
FF VII、たまにふとやりたくなってひっぱりだすんだけど、早いと爆破ミッションが終わるか、長くても神羅ビルについたくらいで満足してしまって、エンディングまでは結局数回しか行ったことがないのよね……。
2 月の “JAGMO -伝説の交響楽団- THE LEGEND OF RPG COLLECTION” も行くし、 3 月の “BRA★BRA FINAL FANTASY Brass de Bravo with Siena Wind Orchestra” も行く。これも楽しみ。
ゲーム音楽、よいものだ。