ギタークリスマスコンサート 2014

新日本ギターアンサンブルの毎年恒例のイベント、ギタークリスマスコンサート。今年は 12 月 20 日の和光大学ポプリホール鶴川での回と、12 月 23 日の白寿ホールでの回の、全二回。

たのしかった。

一年前、去年のこのコンサートのエントリ ではこんな大げさなことを書いたけれど、

ようやく、ギター人生で初めて “納得のいく” 演奏会になったなあと

ぼくはこう弾けばいいのかと、こういう音をつくればよいのかと、これがぼくのスタイルなのかと、そういう納得感

今年は上で言う “ぼくのスタイル” をじっくりことこと煮込んだ一年だった、気がする。

去年はステージ上で突然舞い降りた爆発的なインスピレーション(?)のおかげで、流れの中を興奮して泳いでいたらいつの間にか終わっていた、みたいな感じもあったけれど。今年は自分の特性と自分の音を一年かけて咀嚼して煮込めて吸収できたので、去年と比較するとだいぶ落ち着いて冷静に臨めていた感があり。

反省すべきところもいろいろあったけれど、反省するということは別にしゅんとしてごめんなさいして縮こまっていることではなくて。過去を省みて問題とその対策を考えて、未来の自分の行動にがんがん活かしていくこと、ただそれだけ。

そんなわけで、反省点もあるし、目標もあるし、めざすべきひとも居るし、じわじわと登っていけている実感もあるし、相変わらず脳内には完璧な自分が居るし、解決したい課題もある。

よい状態、だと思うわけで。来年の演奏会めがけて、地道に進んでいこうと思う。

神奈川県高等学校総合文化祭の器楽管弦楽演奏会に行ってきた

平成 26 年度神奈川県高等学校総合文化祭の中の、第 14 回神奈川県高等学校器楽・管弦楽演奏会に行ってきた。長い上に何をどう略しても “高文連” にはならないのがミソ。”高文連” は主催者と主管者、神奈川県高等学校文化連盟。

12 月 14 日、日曜日。去年までと変わって会場は昭和音楽大学のテアトロ・ジーリオ・ショウワ。

相模原中等教育学校クラシックギター部さんの出演時間がちょうどぼくの隙間の時間だったから、ちょうど新百合ヶ丘に居たことだし、覗いてきた。午前の多摩高校ギターアンサンブル部も聴きたかったのだけれど、時間が叶わず。

このホール、本来の用途、つまり “劇場” として使えばすばらしい場所ではあるものの、残念ながらギター合奏とは特性上いまいち相性がよろしくない。実は全日本学生ギターコンクール(当時はまだこの名称だった)が 2007 年にいちどだけここを会場に開催されたのだけれど、それ以来そこでは開催されていないあたりからも、いろいろとうかがえるような、そうでもないような。

というわけで、実際の演奏も、すごく弾きづらそうだなあというのが第一印象。N 人の合奏というより、N 人の独奏の集まりに聴こえてしまって、この部のポテンシャルは絶対こんなものではないはずなのだけれどと思いながら聴いていた。

もともと人数が多い部活がお互いの音を聴きにくい環境で人数を絞って演奏すると、それまで人数の多さでどうにかなっていたところが丸裸にされるので、そういう意味ではこのメンバでの本領発揮はもうちょっと先なのかなと。とくにトリプティークはぼくのお気に入りの曲なので、定期演奏会ではイケイケなのが聴けることを期待。伸び代はたくさん。

中等さんの定期演奏会、毎年経済産業省のアレとかぶるのがつらい……。

洗足学園音楽大学 FUYUON! 2014 クラシックギターコース演奏会に行ってきた

11 月 30 日、日曜日。会場は同大学シルバーマウンテンの二階。

夏の演奏会(NATSUON)には結局行けなかったので、去年の FUYUON 以来一年ぶり。

お目当ては何と言っても世界初演である竹内先生の Surge VI。あとウクレレ。

Surge VI、来年のコンクールの課題曲でもあるので多くのことは書かないけれど、とにかく、ぼくは好きだった。

今までの Surge シリーズだと、ぼくは IV のあのたまらなく切ないメロディがほんとうに大好きで、初見で弾いた瞬間にのめりこんだ記憶がある。VI を聴いたときの感覚も、あの時のそれに近かった。とてもよい。

今回は五人編成だったから、これがコンクールで八十人規模での合奏になったときにどうなるか、楽しみで仕方がない。いつか自分が弾きたい。Surge シリーズが完成したら、Surge 全曲を続けて弾くコンサートを開きたい。

ウクレレは相変わらずテクニックがぶっ飛んでいてさいこうだった。

でも生音よりアンプを使った方がよかったのでは、とも。ウクレレの音色と響きを聴かせる部分ももちろんあるものの、エンタテインメントとしての性格が強かったわけだし、ちょっと惜しい。

演奏者の彼はこれで卒業してしまうそうなので、学校関係ない場で演奏しまくってくれることに期待したい。聴きに行こう。

最後に演奏したブエノスアイレスの冬は、独奏者である演奏者のポテンシャルを引き出すという意味ではこのくらいテクニカルな編曲のほうが似合うなあって感じで、しっかりとハマった仕上がりでかっこうよかった。

この曲も、いつか自分で弾いてみたい曲のひとつ。

去年より人数が減って五人になって、はてさて来年はどうなるのかしら。また聴きに行こう。

ソニー吹奏楽団のファミリーコンサートに行ってきた

ソニー吹奏楽団さんのファミリーコンサートに行ってきた。11 月 29 日、土曜日、会場はめぐろパーシモンホールの大ホール。

演奏会らしい演奏会に足を運んだのが一か月ぶりくらいになってしまった。やっぱり生音はよい。ライブはよい。生きた音楽に触れるのはだいじ。

吹奏楽の演奏会に行っておいてアレだけれど、鍵盤ハーモニカがべらぼうにうまかった。バンドネオンに比べるとリベルタンゴにはちょっと上品できれいすぎる感じもあったけれど、でもうまかった。

あとはブラボーブラス。ソニーさんはわりとクラシック音楽っぽいスタイルというか緻密な演奏をしている印象なので、遊ぶ曲よりも丁寧に音を作れるこういう曲の方が似合う気がする。定期演奏会だとそういう曲がたくさん聴ける。

はとポッポはネタ枠だったけど、ドヴォルザークの第八番風とショスタコーヴィチの第五番風のが個人的にはツボだった。いい展開。

このコンサート、ファミリーコンサートという名前の通り、未就学なお子さまもぜひどうぞというスタンスの演奏会。というかむしろそういうひとたちこそメインターゲットとして設定されているのだと思う。

演奏会って、呼びたい客層が明確でないと、万人受けを狙って逆に主軸が見えにくくなりがちで。その点、この演奏会は対象が明確で、曲もとてもわかりやすかった。パンフレットにも構成にも司会にも “お子さま向け” の要素を取り入れていたし、客層を決めてそれに合わせた準備と運用をするのってやっぱり大事よね、と。お勉強になった。

ひさしぶりのよい生音だったし、満足した。

ポトスでのライブと、Rubinetto 近況

ライブ@ポトス

11 月 23 日、土曜日、ポトスさんでのライブに出てきた。Rubinetto として、これで三回目。

前回と同じ四曲に新しくソノダバンドさんの Manic Street を追加して、全部で五曲の合奏と、ソロを一曲、のプログラム。

楽しかった、とても。あいかわらず。

個人的にこの団体は『楽しいは正義』を地で行くところであってほしい(というかありたい)ので、そういう意味でもとてもよい時間だったと思っている。楽しかったら勝ち、みたいな、そういう感覚。

だから勝ちでした。よかったよかった。

共演者のみなさま、お店のみなさま、ありがとうございました。終わったあとのわちゃわちゃに居られなくて残念でした……。

Rubinetto 近況

さて、そんな Rubinetto、所属メンバ ページの通り、徐々にメンバが増えてきて、当初 5 人だったのがすでに 13 人。

4 月に 1 人、7 月に 2 人、8 月に 1 人、10 月に 2 人、11 月に 2 人。

多摩高校ギターアンサンブル部の OB から始まったけれど、今では相模大野高校クラシックギター部と大野南中学校ギター同好会と東京大学古典ギター愛好会のそれぞれの出身のみなさまが集まっている。パートにカホンも増える、予定。

まだまだメンバも募集しているので、興味があるひとはお気軽に。

そして 2 月と 3 月に 1 回ずつ、単独公演を計画中。

日も場所もなにも決まっていないので、場所が取れるのかもわからないのだけれど、お楽しみに、ということで。

アルヴァロ・ピエッリさんのギターリサイタルに行ってきた

10 月 22 日、水曜日。会場は銀座のヤマハホール。会社はもちろん早退。

衝撃的なすばらしさ。これはギターである。まぎれもなくギターである。ぼくなんかには正しくその価値を理解できないのではという感覚に陥る。そしてたぶんそれは事実。

いろいろなギターの音を聴いてきたつもりではあったけれど、こんなにダイナミックレンジのひろい楽器だったっけと、こんなにいろいろな音の出る楽器だったっけと。ぼくの知っているギターとは何だったのかと。

いまさらそう思った。今まで聴いたことがない音だった。強烈に見せつけられたし、魅せつけられた。

踊るような指遣い、めまぐるしくかわる音の表情、圧倒的な没入感、最後の一音の崇高な響き。

陳腐な言葉ををいくら並べたところでどうにもあの音楽を形容できるものではないのだけれど。

気持ちがよすぎた。音色に酔うし音楽に酔う。さいこうだった。

よい音だった。ほんとうによい音だった。

練習しよう。まずは絶望するところから。

宮川彬良のせたがや音楽研究所 #2 に行ってきた

『宮川彬良の』まで含めて公演の正式なタイトルの一部なだけで、決して呼び捨てにしているわけではない。

10 月 19 日の日曜日、会場はせたがやパブリックシアター。某試験の日だったので、最初の 45 分くらいは遅刻して観られていない。

出演は宮川さんを『所長』として、『特別研究員』に池田理代子さん、『研究員』に INSPi のみなさま。

ベートーヴェンの交響曲第五番と交響曲第九番を題材として、音源を聴きながらそれを宮川さん流の解釈で解説(体裁はあくまで “研究”)していく、みたいな内容。音源は生演奏ではなくて CD だった。惜しい。

音楽を解釈すること自体をエンタテインメントとして仕立てあげた、という印象で、NHK の教育番組の公開収録を観ているかのような感覚。ところどころでベートーヴェンにまつわる研究員さんたちの会話や INSPi さんのライブパフォーマンスが入る。『日立の樹』はさすがに歌い慣れているようでばっちりのたのしい音楽っぷりだった。

最後はこの日のために練習を重ねた一般区民(特別研究員)さんたちを含めた全研究員の合唱 “歓喜の歌” でしめ。

出演者のみなさん、音楽家でありながらも、それ以上にエンタテイナなんだなあと。

解釈に是非はあるかもしれないけれど、そもそもそういえば音楽の解釈って自由でよいんだなあと、そう思えてたのしい時間だった。

岡上分館のカフェコンサートに出たよ(動画もあるよ!)

10 月 11 日、土曜日。第 3 回岡上分館カフェコンサートというイベントに、Rubinetto として出演してきました。会場は岡上分館、体育室です。

演奏のようすをまるっと YouTube にアップロードしたので、せっかくだしそれぞれ説明をいれつつ全曲を紹介してしまうことにします。

演奏した曲

おすすめ順に紹介したいので、まずは三曲目に演奏した『さんぽみち』から。

メンバのひとりである Haracem のオリジナル曲。もともとはアコースティックギターソロ用の曲で、Rubinetto の編成に合わせて編曲してくれたのがこれです。

さんぽをするときのいつもとちょっとだけ違うとくべつな期待感とか冒険心とか、そんな空気にあふれていて、さんぽってたのしいよねって思える、よい曲です。弾いているとテンションがばくはつします。

編曲によって中間部のソロとか転調とかいろいろな要素が加わって、原曲からひとまわりもふたまわりも物語性というか表情がゆたかになった印象です。たのしいです。

次は、最後に演奏した、押尾コータローさんの『翼 ~you are the HERO~』。

押尾コータローさんを知るひとであれば誰もが弾いてみたくなるであろう名曲。これも Haracem の編曲で、原曲を知っているとよい意味でいろいろと裏切られる展開、たのしいです。

残りの二曲は、Rubinetto が結成して最初に練習に取り組んだ曲です。葉加瀬太郎さんの『Born to Smile』と、ソノダバンドさんの『道草のススメ』。

どちらもメンバがいちばん弾きなれている曲で、Rubinetto として最初にひとまえで演奏したとき の曲目もこの二曲でした。

そんな四曲。

いまのところ、この四曲が Rubinetto の持ち曲のすべてです。

岡上分館というところ

小田急線の鶴川駅から徒歩圏にある、麻生市民館の分館です。

Rubinetto という団体ができて、練習場所をどこか借りようとなったときに、初めて存在を知りました。

白状すると最初にここを選んだ理由は “値段” だったのですが、いまではすっかり愛着がわいています。感覚は “母校” のそれに近いですね。

まわりには何も無くて、すぐ横に畑がひろがるようなふるぼけた地域ですが、人工的な騒音のないのんびりとした空気のなか、雨の日は水の音、晴れの日は鳥の声、夕方は虫の音にかこまれてゆったりと練習できるのも、今ではなかなか貴重な気もします。いつかここで、動画を撮りたい。

『道草のススメ』とか『さんぽみち』を演奏している最中に、ふと外の鳥や蝉の声に耳を向けて、ああ、いいなあと、そう思えるのも、岡上分館のよいところだと思っています。

カフェコンサートというイベント

主催は岡上分館ですが、『平成 26 年度麻生市民館岡上分館市民エンパワーメント研修 みんなでつくるカフェコンサート』というプログラムのもとに集まったみなさまで運営されている…… ようです。コンサートの企画や運営を、実際に『カフェコンサート』をつくることを通じて学ぶ、ようなものだと思います。

そういう背景なので、いつぞやの練習後にスタッフさんからカフェコンサートの存在を知らされて、出演しないかと声を掛けていただいたことがきっかけで今回のこのような演奏な場が実現したわけですが、ほんとうにありがたい限りです。

こういう手作りの演奏会、ぼくはとてもだいすきで。

下はちびっこから上はぼくの父よりも上と思われる方々まで、はばひろい層の方々が、朝からたのしそうに会場を設営したり飾り付けをしたりしている様子をみていると、音楽の理想的なかたちってこういうのかもしれないなあと、なんていうか、しあわせな気分になります。

出演は Rubinetto をふくめてぜんぶで五団体で、Rubinetto 以外のみなさまも岡上分館を練習場所に活動しているようでした。

個人的なことをいえば、高校時代の部活の同期のお母さまやら多摩高校合唱部の OB さんたちやら、いろいろとつながりのある方々が他団体として出演しておられたことも、このコンサートをすきになった理由のひとつです。

Rubinetto という団体

レパートリィがようやく四曲になって、なんとか 20 分の枠ならもたせられるようにはなってきました。さらに持ち曲を増やすべく、これから新曲にも取り組むつもりです。単独の演奏会の開催を目指しています。

ギター部を卒業したみなさま、部活時代とは少し違った、こういうカジュアルなギターを楽しみたいみなさま、ぜひいっしょに弾きましょう。

うれしいことに、このコンサートがきっかけで、すでにひとり、某中学校ギター部の OB さんが新規加入の意思を表明してくれています。

まずは見学にどうぞ。うまいへたなんて、どうでもよいことです。たのしいことは正義なのです。

つぎの練習は 10 月 26 日の日曜日、朝 9 時から、場所はこの岡上分館 です。興味があるかた、ついった でも メール でもご連絡ください。

さいごに

岡上分館のみなさま、運営スタッフのみなさま、共演した他団体のみなさま、そして雑な呼びかけにも関わらずご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。

ギター部 OB のみなさま、見学のご連絡お待ちしています 😛

ちょーたのしかったです 🙂 また出たいので、またぜひ!

宿河原のいつものお店、ポトスのライブに参加してきた

たのしかった! です!

前回 はオープンマイクだったけれど、今回はしっかりとしたライブでした。9 月 28 日、日曜日。

Rubinetto としてひとまえで演奏するのはこれで二回目。前回は持ち曲が二曲しかなかったけれど、ようやく四曲までレパートリィが増えまして。

いやはや、たのしいものですね。

頭を空っぽにして、むずかしいことはなにも考えないで、完全にノリだけでぎゃんぎゃんに弾く。

という弾き方ができる団体であり曲であるので、わりとストレートに手放しでおもいきりたのしめたのでした。

きれいなホールで芳醇なひびきに身をゆだねるのもたまらなくだいすきだけれど、こういう、”コンサート” というより “ライブ” って感じの空気も、これはこれでだいすきで。

なんていうか、ああぼくはいまギターを弾いているんだなあ、みたいな気になれる。すばらしい。

ぎゃんっぎゃんに弾いているぼくらの演奏が聴いてみたいみなさま、10 月 11 日に鶴川駅近くの岡上分館で会いましょう。詳細はこちらから。

カフェコンサート@岡上分館 | RUBINETTO

むしろいっしょに弾いてみたいとおもったみなさま、ぜひ入りましょう。たのしいです。ご連絡お待ちしています。

メンバ募集中! | RUBINETTO

ポトスのみなさま、ほかの出演者のみなさま、ありがとうございました。

またぜひ。

相模原中等教育学校の文化祭で、クラシックギター部の演奏を聴いてきた

今年も行ってきた。9 月 22 日の日曜日、相模原中等教育学校の文化祭、蒼碧祭の文化部門。

ただの視聴覚室だから音楽用の場所ではないのだけれど、それなりに防音がしっかりしていて外の騒音がかなり抑えられているので、”文化祭” らしからぬ音響で聴けるのはこの会場のよさのひとつ。

平たくいうと、やっぱりうまいなあ、ってかんじ。ステージにもかなり慣れていて安心感がある。

ギター合奏歴二年から五年のひとたちの集まりだし、そりゃあ当然感覚も育つだろって話ではあるのだけれど、それにしたって中高一貫の強みがうまく出ている気がする。年齢差が大きくなるのはもちろん弱みでもあるのだけれど、それを踏まえても組織としてのバランスはとてもよさそう。

ポピュラ音楽ってどうしても歌詞があってこそのものも多くて、でもギター合奏でやるなら歌詞は表現できないから、いかにメロディを歌詞から卒業させてひとり立ちさせられるかがおおきな課題。聴き手が歌詞を覚えているような有名な曲であれば『聴き手の脳内で勝手に歌詞が再生されることで補完されて曲として完成する』っていうこともなくはないのだけれど、それこそ個人差だから意図して狙うべきではないし。

つまるところ、ギター合奏でその曲を演奏する必然性をどう持たせるか、という話になるのだけれど。

やさしさに包まれたならとか、君をのせてとか、その辺のもうド定番で超有名なものは、いまさらそれを問いかけてどうするのってところまで枯れている感もあるので、細かいことは気にせずに好きにうたえばたぶんきれいにできあがるタイプの曲。

と思って聴いていたら、実際何の不安もなかったよね。こういうのをさくっと不安なくつくるあたり、基礎力の違いだよなあとも。悪くいえば、そもそもの選曲に目新しさはないし、できあがる演奏も予想通りでしかない、とも言えるのだけれど。

今回の曲目の中では Surge III の第三楽章がいちばん好きだった。うねりっぷりもだけれど、指揮者の H くん、お世辞抜きに観るたびにめきめき腕が上がっている感がすごい。ぐんぐん伸びるうえに来年も続投予定とのことで、これからも化けそう。楽しみ。

序奏とアレグロは、個人的には表情の変化を暑苦しいほどに愚直に音にしてぶちまけるような演奏が好きなので、ちょっと冷静すぎた気も。考えて弾くのもだいじだけれど、すべての表現が考え抜かれた計算尽くのものになってしまうと、それはそれでつまらない。もっとも、たぶん芳醇な響きがあってこその曲でもあるから、根本的に場所との相性がすこぶる悪そうというのもあったのだけれど。

あとはからあげを食べたり、たこやきを食べたり、わたあめに並んだり、写真館をみたり、文化祭らしく文化祭を楽しんだ。いろいろなひとにひさしぶりに会えたし、たくさんのひとに声をかけてもらえるのはうれしいものです。

そして恩師にもお会いできた。じつは文化祭に来た目的の半分はこっち。

もともと多摩高校で教えていた先生。相模原中等教育学校で教鞭を執りはじめて六年目。

ぼくの人生でほんとうに数少ない、”尊敬” という表現を遣うことを微塵も厭わない先生、”恩師” と表現することに一切の躊躇をしない先生のひとり。高校当時、話した時間はそう多くはないのだけれど、その短い時間でだってぼくの生き方が刺激を受けるには充分すぎるほどで。

卒業して以来の再会で、会えば話題はやっぱり学校のこと、教育のこと。学校は “生き方” を学ぶ場所だと、ぼくは教育についてはしろうとなのでそのくらいの感覚でしかものを言えないのだけれど。

あいかわらず哲学は健在で、絶望的なまでの頭のよさと回転の速さには到底追いつける気がしないなあと思いながらも、ひとときの会話を楽しんだ。

また会いに行こうと、そう思った。