AWX Operator による AWX のバックアップとリストア

はじめに

前回のエントリ では、AWX をほどほどの使用感でシングルノード K3s 上にホストする方法を紹介しました。

この中では、バックアップとリストアのごく簡易的な例として、PV の実体をフルバックアップする考え方や pg_dump での運用を紹介しましたが、エントリ中でも記述していた通り、AWX の 0.10.0 からは、組み込みで バックアップリストア の機能が追加されています。

本エントリでは、この AWX Operator によるバックアップとリストアを実践します。

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AWX を AWX Operator でシングルノード K3s にホストする

やりたかったこと

AWX の 18.0 から、インストールには AWX Operator の利用、すなわち Kubernetes や OpenShift 上へのデプロイが推奨されるようになりました。それ以前のバージョンでは Docker Compose ベースのデプロイも選択肢として用意されていましたが、現在では(開発やテスト目的を除いて)非推奨になっています。

とはいえ、気軽に使いたいだけ、シングルノードの可用性で充分、などの軽めのユースケースに対しては、すでに Kubernetes を使っている環境でない限り、AWX のためだけに Kubernetes 環境を作る(そして運用していく)のも少々大袈裟で大変です。かといって、公式のインストール手順 で気軽に試せる手段として紹介されている minikube は、プロダクション用途が想定されていない開発や学習用のツールのため、AWX をもう一歩踏み込んで日常的に使っていきたい場合には、逆に少し心許ないところがあります。

そんなわけで、ふたつの選択肢の間でほどよく使えるように、

  • シングルノード
  • 外部からもアクセス できて
  • データも永続化 できて
  • それなりに手堅く 使っていける

感じのを、K3s で作ることにしました。

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AmongUsOverlay: OBS で Among Us のゲーム状況をリアルタイムにオーバレイ表示する

概要

様々な興味と関心が脱線し続けた結果、OBS で Among Us を生配信するときに便利かもしれないオーバレイ表示を実現するツール、AmongUsOverlay ができました。例えばこんなことができます。

  • ロビーにいるときだけ部屋コードを隠す画像を自動で表示 する(ロビー以外では自動で非表示になる)
  • プレイヤの色と名前 を表示し、死亡したプレイヤは死亡した画像に自動で切り替える(ネタバレにならないよう、緊急会議に入ったときに更新される)
  • 選択した ステージに応じたマップを自動で表示 する。ディスカッション中だけは大きなマップに切り替える
  • ゲームの終了後に、その ゲームのまとめ勝者や時系列のイベント)を表示する

動作イメージは次のとおりです。

また、簡単な HTML と CSSで、上記のような画面を自分で簡単に作れるようになっています。例えば、上記のうち、ロビーでだけ表示される画像 は、次のたった一行の HTML で実現できます。

<img class="per_state only_lobby" src="<path/to/image>">

すぐに使えるデモ兼実装例も併せて配布しています。

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Among Us 用ボット AutoMuteUs のあまり知られていない便利な機能

Among Us でゲームの状況に応じて自動でミュート・アンミュートしてくれる便利なボットこと AutoMuteUs、ほんとうに便利ですよね。

簡単な使い方であればインタネットの各所に解説記事がたくさんありますが、実は AutoMuteUs には、さらに便利に活用できるいろいろな機能 が用意されています。

本エントリでは、他の解説記事ではあまり触れられていない機能 を中心に、AutoMuteUs をさらに活用するための情報 を紹介します。

なお、文中で 公式サービス と記載していますが、これは AutoMuteUs 開発者が直々に運営しているサービス というだけの意味であり、Among Us の公式サービス ではない ことは念のため明記しておきます。

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新しいドライバで NUC 8 のオンボード NIC を ESXi 7.0U1 で使えるようにする

はじめに

NUC 8 のオンボード NIC は、ESXi 7.0 U1 から、組み込みのドライバではうまく認識されなくなっています。このため、NUC 8 の ESXi を 7.0U1 以降にアップグレードするには、これまでは対象のドライバ ne1000 だけ旧バージョン(7.0b 世代)にダウングレードする必要がありました。この目的で、以前のエントリ では、特定のドライバだけダウングレードしたカスタムイメージプロファイルの作成と、それを利用したアップグレードを紹介しています。

が、先日、VMware Flings でこの問題を解決できる新しいドライバがリリースされました。

このドライバは、ne1000 ではなく別の新しい e1000-community(と igc-community)として認識されるため、組み込みの ne1000 ドライバと一切競合せず、共存できる 点がポイントです。NIC は ne1000 でなく e1000-community を使って動作するようになるため、ne1000 のバージョンは気にする必要がなくなり、ダウングレードが不要 になります。

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ACME プロトコルで会話できるプライベート CA を立てる

はじめに

プライベート CA が ACME プロトコルを喋れれば、ACME クライアントを使った証明書の発行や更新を気軽に試せて便利です。

もちろん正規の証明書は得られませんが、その代わり、インタネットにポートを露出することなく HTTP-01 チャレンジや TLS-ALPN-01 チャレンジが行えます。公開認証局のリソース負荷やレート制限、CT ログなども気にする必要はなくなりますし、上位の DNS で応答をコントロールすれば、実在しない TLD の証明書も発行できます。

このエントリでは、気軽に実現できる方法のうち、実際に試した次の三パタンを紹介します。

  • Smallstep の step-ca を使う
  • Caddy の組み込みの acme_server を使う
  • Let’s Encrypt の Boulder または Pebble を使う

ACME クライアントを試す目的では、ふたつめの Caddy 案が個人的にはいちばん手軽で小回りが効く印象でした。

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Among Us の便利ボット AutoMuteUs の通信をリバースプロキシ(Nginx/Caddy)と Let’s Encrypt で暗号化する

はじめに

Among Us のゲームの進行に応じて Discord 上の各参加者のミュート・アンミュートを自動制御してくれるとても便利なボット、AutoMuteUs を初めて触りました。

動作にはボットのインスタンスを立てる必要があり、公開インスタンスが満員だったため、その場で自前サーバでのセルフホスト構成を作ったのですが、Docker でホストできることもあって、動かすだけならとても簡単です。Discord でのボット操作を一手に引き受けられるのであれば、インタネット上で公開する必要すらなく、LAN 内に配置するだけで済みます。

が、自分が居ないときでも仲間内で共同利用できるようにしたい場合、どうしてもボットのインスタンスはインタネット上でホストする必要があり、であれば少しでもセキュアにしたい感触があります。

そんなわけで、平文で行われている一部の HTTP や WebSocket の通信を、Let’s Encrypt の SSL 証明書とリバースプロキシ(Nginx)で暗号化したので、実装例の紹介です。

追記Caddy でも実装 しました。エントリ末尾の追記部分 で紹介しています。

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Rapsberry Pi

EdgeX Foundry: Geneva から Hanoi へ

はじめに

本ブログでもちょこちょこ話題にしてきた EdgeX Foundry ですが、最後のエントリからもう半年以上経過してしまいました。

EdgeX Foundry は、半年に一度のペースで新しいバージョンがリリースされます。ぼくが 日本語のハンズオンラボガイド を最初に公開した 4 月時点ではまだ Fuji(1.1) が最新でしたが、5 月に Geneva(1.2)がリリースされ、11 月には Hanoi(1.3)がリリースされています。

というわけで、リリースノートを中心に、Geneva をいまさらおさらいした後、Hanoi の更新情報も見ていきましょう。

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OpenShift 4.6 のベアメタル IPI インストールを試す

はじめに

OpenShift 4 では、そのクラスタの構成方法に IPI(Installer-Provisioned Infrastructure)と UPI(User-Provisioned Infrastructure) の二種類があります。

これまで、IPI をサポートするプラットフォームは AWS や Azure、GCP、RHV、vSphere などのパブリッククラウドやオンプレミスの仮想化基盤に限定されていましたが、どうやら先月末にリリースされた OpenShift 4.6 で、ベアメタル環境への IPI インストールが公式にサポートされたようです。

In 4.6, the full stack automation installation of OpenShift on bare metal is generally available.

Red Hat OpenShift 4.6 Is Now Available

これまでも、GitHub 上では ベアメタル IPI の情報は公開 されており、以前も VirtualBMC for vSphere のユースケースとしても実際に 4.5 で動作を確認済み でした。

とはいえ、せっかく公式手順に仲間入りしたので、このエントリでは、OpenShift 4.6 で公式にサポートされたベアメタル IPI インストールの方法を、改めて紹介します。ただし、BMC を積んだ物理サーバが潤沢にあるわけではないので、物理サーバは VirtualBMC for vSphere を使った vSphere 環境の仮想マシンで代替します。

なお、今回紹介する手順は OKD でなく OpenShift のものです。インストールすると Red Hat OpenShift Cluster Manager に登録され、60 日間の評価期間 が始まります。

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