DANROK のポーランド公演記念コンサートで、突っ走るギターを聴いてきた

6 月 15 日。藤沢にある新堀学園の本館、その三階のオーケストラスタジオで。

DANROK さん、ポーランドの音楽のイベントに招待されたようで、今回はそれを記念して現地で弾くのと同じプログラムを先に日本で、という主旨らしい。

生で聴いたのはもう何回目かわからないけれど、見るたびに勢いが増している印象。昔(昔?)の DANROK さんは身体の遣い方になんとなく演技臭さとか不自然さがあって、見た目の所為で若干素直に聴けないところがあったのだけれど、最近(最近?)はどんどん違和感のない “自然な派手さ” になってきていてたのしい。

とはいえもちろん、本当に自然な身体の遣い方というよりは、どちらかといえば “演技” ではあるのだろうけど。でも演技しつくされて自然に見えるのか、あるいは演奏者の方々にとってはもはやあれが自然だからそう見えるのか、いずれにせよ演奏に合ったイイ派手さ。

ちょう派手な演奏とちょう派手な見た目の相乗効果で、全体がひじょうにイケているパフォーマンスになっていて、ひらたくいえばすごくかっこういい。はちゃめちゃに個々人が弾きまくって、一見てんでばらばらに好き勝手に暴れているようにしか見えないのだけれど、でもばっちり波が合っていて、がんがんアツくなっていくあの感じ。

聴いていても観ていても楽しいし、”外” にいるぼくでもそう思えるので、たぶんよいものなのです。

合奏用ギターを遣う団体やグループって、どうしてもクラシック音楽を核にしているところが多いから、だから DANROK さんみたいなカジュアル志向、観て楽しい聴いて楽しい “堅くない” 世界、派手で激しくてイケイケの曲を中心に据えている団体はぜんぜんない。

ぜんぜんないわりに、冷静に考えると DANROK さんの居るフィールドってギターに馴染みがない層の耳にも受け入れられやすそうで。クラシック音楽より敷居が圧倒的に低い聴きやすさだし、(濃くて暑苦しいけど)堅苦しくないし、もはやインストゥルメンタルバンドだし。

だからニッチな──だけど潜在的な需要は大きそうな──ところをうまく狙ってきたなあと。そして勢いにのってひとつのジャンルとしてもうしっかり成立しているし、うまいことやるなあと。

しかしこうなると新堀グループから離れて動いた方がフットワーク軽くなってやりやすいのではとも思うのだけれど、それはそれでいろいろ難しそうだなあとも。

演奏はやっぱり個々人のスキルのべらぼうな高さが際立つ音で。生音だったから PA にかき乱される こともなくて、とくに Rock of Mozart のトルコ行進曲で田口さんが抜け出てくるところ、あのうたい方と音色はさいこうだった……!

しかし慢性的にソプラノギターにちょっと聴きとりにくさが。がんがん攻める中低音勢に単音弾きアポヤンドのしかもソプラノギターであそこまで張り合える伊原さんも伊原さんだけど、それでも喰われてる感は否めなかった…… のが惜しいところ。でもきれいな音の出しにくさがはんぱないあの楽器を軽々と扱えるのはさすがだなあと。

NRM は全体で見た目を合わせてきていたのがちょっと残念。おいしい拍子木部分で本物の拍子木が出てきてしまったので、せっかくならそこもギターにすればいいのにとも。

でも全体的にどの曲も叩きやらカッティングやらのパーカッシブな音のいれかたはすごく好き。ギターを普通に弾いているだけでは出せないあの空気感はよいよね。例の『にゃー』もやっぱり全然嫌味な感じはなくて、やりきるとやりきれるというかぶっ飛びきってくれるとぶっ飛びきれるんだなーって思った。学生が真似するとどうしても “真似” になっちゃってね、違和感がね。

休憩なしで 14 曲突っ走る、演奏会でもコンサートでもなく、”ライブ” っていう言葉のほうが似合う空気。よい。とにかくテンションあげてひたすらエネルギィぶつける系のああいう弾き方も、ぼくもしてみたいよね。

勢いで CD を買ったら存外によいものだったし、また何かにつけて聴きに行きたいところ。もう少しお安くなるとうれしいんだけど……。

@kurokobo

くろいです。ギターアンサンブルやら音響やらがフィールドの IT やさんなアルトギター弾き。たまこう 48 期ぎたさん、SFC '07 おんぞう、新日本ギターアンサンブル、Rubinetto。今は野良気味。

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