部活の古い録音、レガシィな記録媒体のお話

高校のころ所属していた部活 の古い録音の山が、講師の先生のところに眠っているらしい。何年も前にそんな話を聴いてから、いつか全部きちんとデジタル化して後世に残していきたいなあとながいこと思っていたのだけれど、最近ようやくこれに着手した。

部活の公式 Web ページの中の “ギタサン史” によれば、ぼくらのルーツは 1972 年の秋に発足した同好会。今が 2013 年だから、もう 41 年を数えることになる。ぼくの生まれが 1987 年だから、それよりもずっと前。

40 年を越える歴史があるというのに、さて、ぼくらが “過去の演奏” を聴こうと思ったときに聴けるのは、せいぜいここ 10 年分くらい。最近の部員の中では比較的長くぎたさんに関わっていると思われるぼくでさえ、手元にきちんとした形で持っているのは 2001 年度以降のデータだけ。

世の中に録音が存在しないなら別だけど、物理的に残っているのであれば、それが聴けなくなる前に、聴ける状態にしておきたかった。

経年劣化は避けられない。はやくどうにかしないといけない、このまま何もしないでいたら、ぼくらは膨大な何かを失うことになると、そういうぼんやりとした危機感があった。

残っている記録媒体は、たいがいは何らかのテープ。危機感の根源は、テープの寿命ではなく、テープを再生する機械の寿命である。

テープは強い。コンパクトカセットだろうが DAT だろうが miniDV だろうが Hi8 だろうが VHS だろうが VHS-C だろうが beta だろうが、とにかくテープは強い。信じられないくらいに強い。耐久性でいえば CD-R や DVD-R や HDD よりも何倍も何十倍も強い。今までの数十年も平気で品質を保ってきたし、多分この先の数十年も同じように品質を保ってくれるはず。

だから別に今やらなくてもいいのではないかと思わないこともないのだけど、現実的にはたぶん、テープより先にそのテープを再生できる機械がなくなる。かつて一世を風靡したカセットデッキも、もはやまともな新品は TEAC のくらいしか手に入らない。DAT デッキなんてもうどこも作っていない。

今あるデッキだっていつかは壊れるし、ガタがくるとテープが入ったまま取り出せなくなるとか中で絡まるとか切れるとか、そんなことも起こりうる。そんな現実をよそに、メーカの保守パーツの保管期限もどんどん切れてくるから、オーバホールはおろか修理さえも年々難しくなってくる。

だからやっぱり、今、できるひとがやっておかなければいけない気がする。

第一に、テープの中のデータを保全すること。第二に、保全したデータをリマスタリングして再利用性を高めること。第三以降は、考えていない。

何年かかるかわからない。まずは音から。そのあとは映像。終わったら部活ではない別の団体の分。なんせ 500 本ちかくある。先は長い。いまは 50 本くらい終わったところ。

そんなわけで、最近はレガシィな記録媒体と仲良く暮らしている。ぼくが生まれる前に記録されたメタルテープ[1] が想像をはるかに上回る音のよさでびっくりしたりとか、180 分の DAT をデッキに入れるときにちょっと緊張したり[2] とか、そんな毎日。

しかしこういうことをやっていると、五十年後にこのデータは誰がどう管理しているんだろうなあとか、そもそも五十年後って部活どうなってるのかなあとか、高校っていうシステムがその時まで残っているのかなあとか、いろいろ考えてしまいますね。

はてさて 75 歳のぼくは何を思うのでしょう。そもそも生きているかもわからない。


  1. コンパクトカセットは磁性体の違いでノーマルとハイポジション(クロム)とフェリクロムとメタルがあって、メタルがいちばん音がよい。家電量販店で今でもたまにコンパクトカセットを見るけど、もう劣悪なノーマルしか置いていない []
  2. 180 分の DAT はほかの時間のよりもテープそのものが薄いので、デッキの中で絡まったり切れたりしやすい []

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