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Logicool MX Anywhere 2S(MX1600s)購入

マウスを買ったので写真を撮りました。というエントリです。

おしごと用のマウスは、2012 年から Logicool の Anywhere Mouse(M905r)を愛用しています。数年おきにチャタリングが起きるようになっていましたが、都度交換してもらって、保証期間をだいぶ過ぎた今でも現役です。

一方、自宅用のマウスは、気分でいろいろとっかえひっかえしており、とくにコレと決めたものはありませんでした。が、最近チャタリングが気になりだしたので、慣れたものに決めてしまおうと、おしごと用の M905r の後継である MX Anywhere 2S(MX1600s)を購入したわけです。

これです。

MX1600s
MX1600s

かわいいですね。

並べてみましょう。M905r はつるっとしていましたが、MX1600s ではマットな仕上げに変わっています。かっこうよいですね。

M905r(左)と MX1600s(右)

また、M905r は乾電池式でしたが、MX1600s は、USB で給電する充電池式です。電池の寿命を無視できるのはうれしいですね。何年でヘタるかはわかりませんが……。

MX1600s(右)はマウスの頭に充電用の USB ポートがある

でも、実は不満もあるのです。

M905r は、電池の蓋をあけたところに Unifying レシーバを格納できましたが、MX1600s ではこれができません。

M905r は電池蓋を開けると Unifying レシーバを格納できた

とはいえ、MX1600s は例の Logicool Flow に対応しているので、Unifying レシーバを差し替えて複数台で使いまわすようなこと自体が、もはや本来の想定された使い方ではないということなのでしょう。たぶん。

しかし、それでも、それでもまだ不満はあるのです。

M905r はスイッチのオンオフが信じられないくらいラクだったのです。なぜなら物理的にスイッチが大きくて操作しやすいからで、オフィス内をマウスとともにうろうろする前後で片手でスイッとできていました。

M905r(左)と MX1600s(右)でスイッチのサイズが圧倒的に違う
両モデルでスイッチを入れたところ

MX1600s は、スイッチがほんとうに小さくて、爪が短いと操作しづらいレベルです。ぼくの使い方だとユーザビリティが著しく悪化したポイントです。

また、M905r に付属していたソフトケースが無くなったのも個人的には非常に痛いところです。おしごと用の M905r は、鞄に放り込んでの持ち運びを散々しているので、ソフトケースが大活躍だったのでした。

使い古されてきた M905r のソフトケース
専用のソフトケースなので、サイズもぴったり

というわけで、最新世代たる MX1600s は、モバイル用を謳った後継機ではあるものの、ぼくにとっては一部不満が残ってしまうものでした。

でもなんだかんだいいながらも、マウスとして一番だいじな実際の使い心地は、相変わらず抜群に快適です。この辺の品質に妥協がないのは安心感があります。また、サイズ感もまったく変わっていないので、何の違和感もなく一瞬で馴染みました。

ソフトケースはいざとなったら M905r のを今後も使えばいいし、素直に Logicool Flow をセットアップすれば Unifying レシーバを持ち歩く必要もなくせるでしょう。スイッチの形状だけはどうしようもないですが、きっと慣れます。

よいマウスです

以上、おすすめマウスの紹介でした。

今回、撮影ボックスを初めて使ってみました。ライティングはもう少し工夫したいですし、こういう写真のときの被写界深度の考え方はお勉強が必要です。


Cluster API で vSphere 上の Kubernetes クラスタを管理する

きっかけ

実験したいことが出てきてしまい、自宅で Kubernetes を触りたくなりました。

これまで Kubernetes を触る場合は Google Kubernetes Engine(GKE)ばかりを使っていたのですが、 今回実験したいのは IoT の世界でいうエッジ側の話なので、できればオンプレミス相当の Kuberentes クラスタが欲しいところです。

そんなわけで、これ幸いと自宅の vSphere 環境で Cluster API を叩いてゲストクラスタを作ることにしました。Cluster API は、2019 年に VMware から発表された VMware Tanzu や Project Pacific の実装でも使われているそうで、そういう意味でも興味のあるところです。

VMware Tanzu や Project Pacific は、エントリの本筋ではないので細かくは書きませんが、めっちゃ雑に書くと、vSphere と Kubernetes がイケてる感じにくっついたヤツです。

Cluster API とは

Cluster API は、Kubernetes っぽいお作法で Kubernetes クラスタそれ自体を管理できる仕組みです。Kubernetes の SIG のプロジェクト として開発が進められています。

最新バージョンは 2019 年 9 月にリリースされた v1alpha2 で、現在は v1alpha3 が開発中です。バージョン名を見てもわかる通り、現段階ではいわゆるアルファ版ですし、ドキュメントでも『プロトタイプだよ』『どんどん変わるからね』と記載されているので、ごりごりに使い込むのはまだちょっと待ったほうがよさそうですね。

Cluster API is still in a prototype stage while we get feedback on the API types themselves. All of the code here is to experiment with the API and demo its abilities, in order to drive more technical feedback to the API design. Because of this, all of the codebase is rapidly changing.

https://github.com/kubernetes-sigs/cluster-api/blob/master/README.md

Kubernetes クラスタを構成するノードは、多くの場合は仮想マシンです。その仮想マシンは、パブリッククラウド上だったりオンプレミスの vSphere 上や OpenStack 上だったりで動いているわけですが、Cluster API では、そうしたプラットフォームごとに Provider なる実装が用意されており、環境差異を抽象化してくれます。これにより、異なる環境でも同一の操作感で Kubernetes クラスタを管理できます。

今回は vSphere 環境上の Kubernetes クラスタの構成が目的なので、vSphere 用の Provider を使って作業します。

構成要素と構成の流れ

最終的には、いわゆる Kubernetes らしく業務や開発で様々なアプリケーションを動作させることになる Kubernetes クラスタと、それらを管理するためだけの Kubernetes クラスタ、の大きく二種類の Kubernetes クラスタができあがります。

前者がゲストクラスタ(ワークロードクラスタ)、後者がマネジメントクラスタなどと呼ばれるようです。Cluster API はこのうちのマネジメントクラスタに組み込まれており、この Cluster API によってゲストクラスタのライフサイクルを簡単に管理できるということです。

ざっくりイメージ

もう少し具体的にいえば、例えば Kubernetes クラスタ自体は cluster リソースとして、あるいはそれを構成するノードの仮想マシンは machine リソースとして扱えるようになり、通常の pod リソースや deployment リソースと同じように、自分以外の Kubernetes クラスタの構成が管理できるということです。

構築の観点では、つまりマネジメントクラスタができさえすれば Cluster API 環境はほぼ完成と言えるわけですが、実際にはマネジメントクラスタ自身もマネジメントクラスタで管理するため、手順はちょっと複雑です。

マネジメントクラスタの作り方はいくつかあるようですが、今回は vSphere 用 Provider の Getting Started の通り、以下のような流れで構成を進めます。

作業の流れのイメージ
  1. 作業用端末(図中 Workstation)に Docker や kuberctl など必要なモノを揃えて、マニフェストファイルを生成する
  2. Docker 上に作業用の Kubernetes クラスタ(ブートストラップクラスタ)を作り、Cluster API を導入する
  3. 導入した Cluster API を使って、マニフェストファイルに従って本当のマネジメントクラスタを作る
  4. マネジメントクラスタに Cluster API 環境を移行(Pivoting)して、ブートストラップクラスタを消す

最終的なマネジメントクラスタを作るためにさらに別の Kubernetes クラスタ(ブートストラップクラスタ)が必要なあたりがわりとややこしいですが、そういうものみたいです。

ここまでできたら、Cluster API の本来の利用方法の通り、マニフェストファイルに従ってゲストクラスタを作ったり消したり拡張したり縮小したりできます。

ここまでの作業はこれをやるためのただのお膳立てです

構築の準備

前述した流れの通り、マネジメントクラスタを構築するには、ブートストラップクラスタが動作できる環境が必要です。また、マネジメントクラスタが動作する vSphere 環境でも、少し準備が必要です。

作業端末の整備

作業前提を整えます。作業用の端末は、ブートストラップクラスタの動作と、それを用いたマネジメントクラスタの構築ができる必要があり、このために、

が必要です。Windows でもおそらく動くとは思いますが、今回は作業用の Ubuntu 端末を別に用意して使っています。

Docker は適当に入れます。今回の端末は Ubuntu 19.10 なので、19.04 用のバイナリを無理やり入れます。

$ sudo apt update
$ sudo apt install apt-transport-https ca-certificates curl software-properties-common
$ curl -fsSL https://download.docker.com/linux/ubuntu/gpg | sudo apt-key add -
$ sudo add-apt-repository "deb [arch=amd64] https://download.docker.com/linux/ubuntu disco stable"
$ sudo apt update
$ sudo apt install docker-ce docker-ce-cli containerd.io
$ sudo usermod -aG docker ${USER}

clusterctl と Kind、kubectl はバイナリをダウンロードするだけです。

$ curl -Lo ./clusterctl https://github.com/kubernetes-sigs/cluster-api/releases/download/v0.2.9/clusterctl-darwin-amd64
$ chmod +x ./clusterctl
$ mv ./clusterctl ~/bin
$ curl -Lo ./kind https://github.com/kubernetes-sigs/kind/releases/download/v0.6.1/kind-$(uname)-amd64
$ chmod +x ./kind
$ mv ./kind ~/bin
$ curl -Lo ./kubectl https://storage.googleapis.com/kubernetes-release/release/`curl -s https://storage.googleapis.com/kubernetes-release/release/stable.txt`/bin/linux/amd64/kubectl
$ chmod +x ./kubectl
$ mv ./kubectl ~/bin

が、clusterctl は v1alpha2 の時点ですでに DEPRECATED 扱いでした。

しかしながら代替手段がよくわかっていないし、Cluster API のドキュメント 通りではなにやらうまく動かない(kubeconfig 用の secret ができあがらない)ので、v1alpha3 が出て情報が増えてきたらどうにかします。

あと、Kind の最新リリースは現時点で 0.7.0 ですが、それを使うと後続の作業がうまく動かなかったので、ひとつ古い 0.6.1 を指定しています。

vSphere 環境での OVA テンプレートの展開

vSphere 環境用の Provider を使って Kubernetes クラスタを作った場合、最終的にできあがる Kubernetes のノードは vSphere 環境上の仮想マシンです。

この仮想マシンの元になるテンプレートが用意されているので、これをあらかじめデプロイして、テンプレートに変換しておきます。

Ubuntu 版と CentOS 版がありますが、今回は Ubuntu 版の最新の 1.16.3 を使いました。

その他のイメージのリンクは リポジトリに一覧 されています。

vSphere 環境でのフォルダとリソースプールの作成

マネジメントクラスタとゲストクラスタを入れるフォルダ(仮想マシンインベントリのヤツ)とリソースプールを作ります。入れ物としてただあればよいので、設定は適当で大丈夫です。

マネジメントクラスタの構成

では、実際の構築を進めます。ブートストラップクラスタを作り、そこで Cluster API を動作させて、それを通じて最終的なマネジメントクラスタを作ります。

はじめに、構成に必要な環境変数を、envvars.txt にまとめて定義します。内容はそれぞれの環境に依存するので書き換えが必要です。

$ cat envvars.txt
# vCenter config/credentials
export VSPHERE_SERVER='192.168.0.201'                  # (required) The vCenter server IP or FQDN
export VSPHERE_USERNAME='administrator@vsphere.local'  # (required) The username used to access the remote vSphere endpoint
export VSPHERE_PASSWORD='my-secure-password'           # (required) The password used to access the remote vSphere endpoint

# vSphere deployment configs
export VSPHERE_DATACENTER='kuro-dc01'                                 # (required) The vSphere datacenter to deploy the management cluster on
export VSPHERE_DATASTORE='nfs-ds01'                                   # (required) The vSphere datastore to deploy the management cluster on
export VSPHERE_NETWORK='ext-vm'                                       # (required) The VM network to deploy the management cluster on
export VSPHERE_RESOURCE_POOL='k8s'                                    # (required) The vSphere resource pool for your VMs
export VSPHERE_FOLDER='k8s'                                           # (optional) The VM folder for your VMs, defaults to the root vSphere folder if not set.
export VSPHERE_TEMPLATE='template_ubuntu-1804-kube-v1.16.3'           # (required) The VM template to use for your management cluster.
export VSPHERE_DISK_GIB='50'                                          # (optional) The VM Disk size in GB, defaults to 20 if not set
export VSPHERE_NUM_CPUS='2'                                           # (optional) The # of CPUs for control plane nodes in your management cluster, defaults to 2 if not set
export VSPHERE_MEM_MIB='2048'                                         # (optional) The memory (in MiB) for control plane nodes in your management cluster, defaults to 2048 if not set
export SSH_AUTHORIZED_KEY='ssh-rsa AAAAB...6Ix0= kuro@kuro-ubuntu01'  # (optional) The public ssh authorized key on all machines in this cluster

# Kubernetes configs
export KUBERNETES_VERSION='1.16.3'     # (optional) The Kubernetes version to use, defaults to 1.16.2
export SERVICE_CIDR='100.64.0.0/13'    # (optional) The service CIDR of the management cluster, defaults to "100.64.0.0/13"
export CLUSTER_CIDR='100.96.0.0/11'    # (optional) The cluster CIDR of the management cluster, defaults to "100.96.0.0/11"
export SERVICE_DOMAIN='cluster.local'  # (optional) The k8s service domain of the management cluster, defaults to "cluster.local"

続けて、このファイルを使って、マネジメントクラスタの構成を定義したマニフェストファイル群を生成します。この作業のための専用のコンテナイメージが用意されているので、これに食べさせます。

$ docker run --rm \
  -v "$(pwd):/out" \
  -v "$(pwd)/envvars.txt":/envvars.txt:ro \
  gcr.io/cluster-api-provider-vsphere/release/manifests:latest \
  -c management-cluster
Checking 192.168.0.201 for vSphere version
Detected vSphere version 6.7.1
Generated ./out/management-cluster/addons.yaml
Generated ./out/management-cluster/cluster.yaml
Generated ./out/management-cluster/controlplane.yaml
Generated ./out/management-cluster/machinedeployment.yaml
Generated /build/examples/pre-67u3/provider-components/provider-components-cluster-api.yaml
Generated /build/examples/pre-67u3/provider-components/provider-components-kubeadm.yaml
Generated /build/examples/pre-67u3/provider-components/provider-components-vsphere.yaml
Generated ./out/management-cluster/provider-components.yaml
WARNING: ./out/management-cluster/provider-components.yaml includes vSphere credentials

これで、./out/management-cluster 配下にマニフェストファイル群が出力されました。

$ ls -l ./out/management-cluster/
total 268
-rw-r--r-- 1 kuro kuro  19656 Feb 11 08:54 addons.yaml
-rw-r--r-- 1 kuro kuro    933 Feb 11 08:54 cluster.yaml
-rw-r--r-- 1 kuro kuro   3649 Feb 11 08:54 controlplane.yaml
-rw-r--r-- 1 kuro kuro   2576 Feb 11 08:54 machinedeployment.yaml
-rw-r--r-- 1 kuro kuro 240747 Feb 11 08:54 provider-components.yaml

で、あとはこれらを clusterctl に食べさせるだけです。

$ clusterctl create cluster \
  --bootstrap-type kind \
  --bootstrap-flags name=management-cluster \
  --cluster ./out/management-cluster/cluster.yaml \
  --machines ./out/management-cluster/controlplane.yaml \
  --provider-components ./out/management-cluster/provider-components.yaml \
  --addon-components ./out/management-cluster/addons.yaml \
  --kubeconfig-out ./out/management-cluster/kubeconfig
NOTICE: clusterctl has been deprecated in v1alpha2 and will be removed in a future version.
I0211 08:55:09.414116    2332 createbootstrapcluster.go:27] Preparing bootstrap cluster
I0211 08:55:59.745617    2332 clusterdeployer.go:82] Applying Cluster API stack to bootstrap cluster
...
I0211 08:56:02.302440    2332 clusterdeployer.go:87] Provisioning target cluster via bootstrap cluster
...
I0211 08:56:02.454960    2332 applymachines.go:46] Creating machines in namespace "default"
I0211 08:59:12.512879    2332 clusterdeployer.go:105] Creating target cluster
...
I0211 08:59:13.394821    2332 clusterdeployer.go:123] Pivoting Cluster API stack to target cluster
...
I0211 08:59:56.665878    2332 clusterdeployer.go:164] Done provisioning cluster. You can now access your cluster with kubectl --kubeconfig ./out/management-cluster/kubeconfig
I0211 08:59:56.666586    2332 createbootstrapcluster.go:36] Cleaning up bootstrap cluster.

主要なログだけ抜粋していますが、これだけで、

  1. Kind を使って、作業端末の Docker 上にブートストラップクラスタを構築する
  2. ブートストラップクラスタに Cluster API を導入する
  3. その Cluster API を使って、マニフェスト通りに vSphere 環境上にマネジメントクラスタをデプロイする
    • 仮想マシンをテンプレートからデプロイする
    • 仮想マシンをクラスタのコントロールプレーンとして構成する
  4. ブートストラップクラスタ上に構成していた Cluster API の環境をマネジメントクラスタに移行する(Pivoting)

が実行され、最終的な形でマネジメントクラスタができあがります。

完成したマネジメントクラスタへの接続に必要な情報は、./out/management-cluster/kubeconfig に保存されています。kubectl の設定ファイルをこれに切り替えてコマンドを実行すると、マネジメントクラスタ自体の情報や、machine リソースとしての自分自身の存在が確認できます。

$ export KUBECONFIG="$(pwd)/out/management-cluster/kubeconfig"

$ kubectl cluster-info
Kubernetes master is running at https://192.168.0.27:6443
KubeDNS is running at https://192.168.0.27:6443/api/v1/namespaces/kube-system/services/kube-dns:dns/proxy

To further debug and diagnose cluster problems, use 'kubectl cluster-info dump'.

$ kubectl get machines
NAME                                       PROVIDERID                                       PHASE
management-cluster-controlplane-0          vsphere://42069f1f-21ac-45be-69b9-e94702d3062b   running

vSphere 環境では、仮想マシン management-cluster-controlplane-0 の存在が確認できるはずです。

ここまででマネジメントクラスタができたので、Cluster API 環境は完成です。あとは好きなように Cluster API を使ってゲストクラスタを作ったり消したり拡張したり縮小したりできます。

ゲストクラスタの構成

実際に、Cluster API を使って、新しくゲストクラスタを構成します。

Cluster API は、Kubernetes のお作法で Kubernetes クラスタ自体が管理できるので、つまり、クラスタの構成情報も、Pod や Deployment などほかの Kubernetes リソースと同じように、マニフェストファイルで定義されます。よって、ゲストクラスタを作るには、その構成を定義したマニフェストファイルが必要です。

本来はきちんと中身を書くべきっぽいですが、マネジメントクラスタ用のマニフェストファイルを作ったのと同じ方法でゲストクラスタ用のマニフェストファイル群も作れるので、ここではそれを利用します。

$ docker run --rm \
  -v "$(pwd):/out" \
  -v "$(pwd)/envvars.txt":/envvars.txt:ro \
  gcr.io/cluster-api-provider-vsphere/release/manifests:latest \
  -c workload-cluster-1
Checking 192.168.0.201 for vSphere version
Detected vSphere version 6.7.1
Generated ./out/workload-cluster-1/addons.yaml
Generated ./out/workload-cluster-1/cluster.yaml
Generated ./out/workload-cluster-1/controlplane.yaml
Generated ./out/workload-cluster-1/machinedeployment.yaml
Generated /build/examples/pre-67u3/provider-components/provider-components-cluster-api.yaml
Generated /build/examples/pre-67u3/provider-components/provider-components-kubeadm.yaml
Generated /build/examples/pre-67u3/provider-components/provider-components-vsphere.yaml
Generated ./out/workload-cluster-1/provider-components.yaml
WARNING: ./out/workload-cluster-1/provider-components.yaml includes vSphere credentials

ゲストクラスタの定義と、コントロールプレーンの定義が、

  • ./out/workload-cluster-1/cluster.yaml
  • ./out/workload-cluster-1/controlplane.yaml

に含まれます。また、ワーカノードの定義は、

  • ./out/workload-cluster-1/machinedeployment.yaml

です。自分でマニフェストをいじる場合は、この辺をどうにかする必要があるということですね。

実際にデプロイするには、kubectl の接続先をマネジメントクラスタに切り替えてから、先の 3 つのファイルをマネジメントクラスタに突っ込みます。

$ export KUBECONFIG="$(pwd)/out/management-cluster/kubeconfig"

$ kubectl apply -f ./out/workload-cluster-1/cluster.yaml
cluster.cluster.x-k8s.io/workload-cluster-1 created
vspherecluster.infrastructure.cluster.x-k8s.io/workload-cluster-1 created

$ kubectl apply -f ./out/workload-cluster-1/controlplane.yaml
kubeadmconfig.bootstrap.cluster.x-k8s.io/workload-cluster-1-controlplane-0 created
machine.cluster.x-k8s.io/workload-cluster-1-controlplane-0 created
vspheremachine.infrastructure.cluster.x-k8s.io/workload-cluster-1-controlplane-0 created

$ kubectl apply -f ./out/workload-cluster-1/machinedeployment.yaml
kubeadmconfigtemplate.bootstrap.cluster.x-k8s.io/workload-cluster-1-md-0 created
machinedeployment.cluster.x-k8s.io/workload-cluster-1-md-0 created
vspheremachinetemplate.infrastructure.cluster.x-k8s.io/workload-cluster-1-md-0 created

この作業によって、まずコントロールプレーンがデプロイされ、続けてワーカノードがデプロイされます。vSphere 環境でも順次仮想マシンがデプロイされパワーオンされていく様子が観察できるでしょう。

デプロイが完了すると、以下のように、マネジメントクラスタが Kubernetes クラスタ自体を cluster リソースや machine リソースとして管理できている状態になります。

$ kubectl get clusters
NAME                 PHASE
management-cluster   provisioned
workload-cluster-1   provisioned

$ kubectl get machines
NAME                                       PROVIDERID                                       PHASE
management-cluster-controlplane-0          vsphere://42069f1f-21ac-45be-69b9-e94702d3062b   running
workload-cluster-1-controlplane-0          vsphere://4206f835-1e8d-3473-943f-0e2cc4b04319   running
workload-cluster-1-md-0-78469c8cf9-fr22j   vsphere://4206661b-9be8-cede-eeee-68ddbbdeb872   running
workload-cluster-1-md-0-78469c8cf9-jnqnw   vsphere://4206861f-e133-4a53-2008-3346c81ed8e3   running

ゲストクラスタへの接続情報は、secret リソースとして保持されています。これを kubeconfig として保存することで、kubectl でゲストクラスタに接続できるようになります。

$ kubectl get secrets
NAME                            TYPE                                  DATA   AGE
...
workload-cluster-1-kubeconfig   Opaque                                1      
...

$ kubectl get secret workload-cluster-1-kubeconfig -o=jsonpath='{.data.value}' | \
  { base64 -d 2>/dev/null || base64 -D; } >./out/workload-cluster-1/kubeconfig

実際に接続すれば、当たり前ですがゲストクラスタやノードの情報が確認できます。

$ export KUBECONFIG="$(pwd)/out/workload-cluster-1/kubeconfig"

$ kubectl cluster-info
Kubernetes master is running at https://192.168.0.28:6443
KubeDNS is running at https://192.168.0.28:6443/api/v1/namespaces/kube-system/services/kube-dns:dns/proxy

To further debug and diagnose cluster problems, use 'kubectl cluster-info dump'.

$ kubectl get nodes
NAME                                       STATUS     ROLES    AGE     VERSION
workload-cluster-1-controlplane-0          NotReady   master   3m14s   v1.16.3
workload-cluster-1-md-0-78469c8cf9-fr22j   NotReady   <none>   90s     v1.16.3

表示されている通り、この段階ではノードは NotReady です。これは CNI プラグインが構成されていないからで、雑にいえば、この Kubernetes クラスタ内のコンテナネットワークに使う実装を明示する必要があるということです。

コンテナネットワークの実装には Flannel とか Calico とかいろいろありますが、ゲストクラスタ用マニフェスト群の中にある ./out/workload-cluster-1/addons.yaml で Calico を構成できるので、今回はこれを使います。

適用してしばらく待つと、ノードが Ready になり、ゲストクラスタの完成です。

$ kubectl apply -f ./out/workload-cluster-1/addons.yaml 
configmap/calico-config created
...
serviceaccount/calico-kube-controllers created

$ kubectl get nodes
NAME                                       STATUS   ROLES    AGE     VERSION
workload-cluster-1-controlplane-0          Ready    master   4m22s   v1.16.3
workload-cluster-1-md-0-78469c8cf9-fr22j   Ready    <none>   2m38s   v1.16.3

ゲストクラスタの拡張

Kubernetes って、アプリケーションのスケールアウトが kubectl scale だけでできてめっちゃラクですよね。

というのと同じノリで、ゲストクラスタもめっちゃラクにスケールアウトできるので、やってみましょう。

ノードの管理はマネジメントクラスタから行うので、接続先を切り替えて、machinedeployment をスケールさせます。

$ export KUBECONFIG="$(pwd)/out/management-cluster/kubeconfig"

$ kubectl scale md workload-cluster-1-md-0 --replicas=3
machinedeployment.cluster.x-k8s.io/workload-cluster-1-md-0 scaled

$ kubectl get machines
NAME                                       PROVIDERID                                       PHASE
management-cluster-controlplane-0          vsphere://42069f1f-21ac-45be-69b9-e94702d3062b   running
workload-cluster-1-controlplane-0          vsphere://4206f835-1e8d-3473-943f-0e2cc4b04319   running
workload-cluster-1-md-0-78469c8cf9-fr22j   vsphere://4206661b-9be8-cede-eeee-68ddbbdeb872   running
workload-cluster-1-md-0-78469c8cf9-jnqnw   vsphere://4206861f-e133-4a53-2008-3346c81ed8e3   running
workload-cluster-1-md-0-78469c8cf9-nxvht   vsphere://4206ec88-6607-1699-8051-e1447a448983   running

これだけでノードが 3 台になりました。仮想マシンも増えています。

ノードが増えた様子

簡単ですね。

ゲストクラスタのロードバランサの構成

おまけです。

vSphere が組み込みでロードバランサを持っていないから仕方ないですが、 現状、Cluster API でゲストクラスタを構成するときには、ロードバランサは構成できません。

このままだと、ゲストクラスタで kubectl expose--type=LoadBalancer しても EXTERNAL-IP が永遠に pending のままで、外部に公開できません。

GitHub でも issue があります し、めっちゃがんばると多分オンプレミス環境でも NSX-T とかでどうにかできるとは思いますが、その域に達していないので、とりあえず MetalLB を突っ込んで解決します。

MetalLB とは

ロードバランサが使えずにサービスを外部に公開できない、というのは、ベアメタル環境で Kubernetes を使うときによく遭遇する話題のようで、そういうヒト向けの仮想ロードバランサの実装です。

実際には正しい負荷分散にはならないみたいですが、ものすごく気軽に使えますし、アクセス経路の提供という意味では充分機能するので便利です。

MetalLB の構成と初期設定

公式のドキュメント に従います。インストール用のマニフェストファイルを突っ込んだあと、

$ kubectl apply -f https://raw.githubusercontent.com/google/metallb/v0.8.3/manifests/metallb.yaml
namespace/metallb-system created
...
deployment.apps/controller created

ドキュメントの Layer 2 Configuration の通りに設定用マニフェストファイルを作って突っ込みます。IP アドレスのレンジは任意で修正します。

$ cat metallb.yaml 
apiVersion: v1
kind: ConfigMap
metadata:
  namespace: metallb-system
  name: config
data:
  config: |
    address-pools:
    - name: default
      protocol: layer2
      addresses:
      - 192.168.0.50-192.168.0.99

$ kubectl apply -f metallb.yaml 
configmap/config created

これだけです。

動作確認

Kubernetes のチュートリアルのヤツ を作って、

$ kubectl apply -f https://k8s.io/examples/service/load-balancer-example.yaml
deployment.apps/hello-world created

$ kubectl get pods
NAME                          READY   STATUS    RESTARTS   AGE
hello-world-f9b447754-6rrt9   1/1     Running   0          68s
hello-world-f9b447754-b6psq   1/1     Running   0          68s
hello-world-f9b447754-ml5w8   1/1     Running   0          68s
hello-world-f9b447754-nprbn   1/1     Running   0          68s
hello-world-f9b447754-wpgv5   1/1     Running   0          68s

expose します。

$ kubectl expose deployment hello-world --type=LoadBalancer
service/hello-world exposed

$ kubectl get services
NAME          TYPE           CLUSTER-IP       EXTERNAL-IP    PORT(S)          AGE
hello-world   LoadBalancer   100.69.189.221   192.168.0.50   8080:32015/TCP   6s
kubernetes    ClusterIP      100.64.0.1       <none>         443/TCP          4h55m

$ kubectl describe services hello-world
...
Endpoints:                100.113.190.67:8080,100.113.190.68:8080,100.97.109.3:8080 + 2 more...
...

EXTERNAL-IP に MetalLB で設定したレンジの IP アドレスが振られていますし、エンドポイントも 5 つです。

実際にこの IP アドレスにアクセスすると、正しく表示が返ってきます。無事に動いているようです。

$ curl http://192.168.0.50:8080/
Hello Kubernetes!

まとめ

vSphere 環境で Cluster API を使って Kubernetes クラスタを管理できる状態を整えました。

最初の作業はちょっとだけ手間ですが、いちどできてしまうとスケールも相当楽なので使いやすそうです。ロードバランサ周りが NSX-T などふくめいい感じにできるようになってくると、活用の幅も広がりそうですね。

VMware Tanzu や Project Pacific でも Kubernetes クラスタのライフサイクル管理は謳われているので、この手の作業が導入作業も含めて GUI や API 経由でポチポチ簡単にできるようになるのだろうと勝手に思っています。GA になったら触ってみます。


おうち IoT 用の LINE ボットをもう少し賢くする

これまでの LINE ボットの課題

2018 年に、家のエアコンを操作してくれる LINE ボットを作って以来、すでに一年半くらい運用しています。概要は 当時のエントリでも紹介しています が、LINE での会話を元に自宅のエアコンを操作してくれるものです。

これ、作った当初に想定していた以上にたいへん便利で、外出先で家族と『そろそろロボくんにお願いしておこう』などの会話が発生する程度には実際に活用されていました。この手の『作ってみた』系は、長期的な運用が定着する前に使わなくなることが多い印象もあり、これは小規模ではあるもののうまくいった例と言えるかと思います。

当時の LINE ボットの様子

一方で、作りが甘い部分もあって、

  • Lambda の Node.js のランタイムで EoL が迫っていた
    • そもそも Node.js のランタイム側の更新に追従していくことに将来的にけっこう体力を使いそうな印象がある
    • 当時 Node.js を選んだ理由は『とりあえずいちど触ってみたかった』からというだけで、すでにその目的は達成できた
  • ひとつの Lambda に全機能を詰め込んでいて、どう考えてもイケてないアーキテクチャだ
  • 機能が足りない
    • エアコンのオンオフと温度の変更はできたが、冷房と暖房の切り替え機能を実装していない

など、長期的な運用に耐えられるよう全体を作り直したいモチベーションも強くなってきていました。

そんな中、あるイベントに参加して、『Raspberry Pi とセンサとクラウドサービスを使って何でもいいから個人で何かを作る』という活動をすることになり、タイミングもよかったので、この LINE ボットの作り直しを進めることにしました。

できたもの

で、こういう風に進化して、今も元気に動いています。

現在の LINE ボットの様子

以下のような機能が付いています。

  • エアコンの操作
    • オンオフ、冷暖房の切り替え、温度の変更、現在の設定の確認をしてくれます
  • 加湿器の操作
    • オンオフをしてくれます
  • 空調センサ
    • 室内に設置したセンサを使って、気温、湿度、気圧、二酸化炭素濃度の現在の値を教えてくれます
    • 任意の時間分の履歴をグラフ化して送ってくれます
  • 家計簿の記録
    • 支払者、使途、金額を Google Sheets に追記してくれます
  • 毎朝の自動制御
    • 毎朝、部屋が寒い(暑い)場合は、暖房(冷房)を付けてくれます
    • 毎朝、部屋が乾燥している場合は、加湿器を付けてくれます

実装

実装を簡単に紹介します。末尾には GitHub へのリンクも載せています。

全体像

全体はこのような構成です。

こけおどし全体像

参加したイベントの性質上、なるべくたくさんの要素技術を取り込んだほうが評価が上がる仕組みだったため、あえてまわりくどく冗長な構成になっている部分もあります。

センシングと蓄積

センシングと蓄積は、図の以下の部分です。これまで複数回にわたって紹介してきた EdgeX Foundry を中心に構成しています。

センシングと蓄積の部分

EdgeX Foundry 自体は、家庭内の IoT ゲートウェイサーバとして構築した Ubuntu 仮想マシン(ESXi 上で動作)の中で動いています。このゲートウェイサーバ上では MQTT ブローカも動かしています。

Raspberry Pi は、センサ値を読んで MQTT トピックにひたすら放り込み続けるだけの係です。EdgeX Foundry は、この Raspberry Pi を MQTT デバイスとして制御するよう構成されており、所定の MQTT トピックに投げ込まれたデータを取り込んで、アプリケーションサービスの機能を使ってクラウド上の所定の宛先にデータをエクスポートしています。

エクスポート先は、Mosquitto のパブリック MQTT トピックと、Pivotal Web Service(PWS)上のワーカアプリケーションで、なんやかんやされて最終的にデータは InfluxDB Cloud 2.0、Redis Cloud、MongoDB mLab に蓄積されます。

十数年前に PIC や Arduino でセンサやアクチュエータを操作していた頃は、データシートとにらめっこをしながら必要な抵抗を計算したり回路を考えたりしていましたが、最近のヤツは単にデータを読み取るだけなら恐ろしいくらい簡単ですね…… けっこう衝撃でした。

今回は BME280 と MH-Z19 を使っています。安いですし精度は悪いのでしょうが、厳密な値は必要としていないのでよしとしています。最初は DS18B20 も使っていましたが、BME280 を組み込んでからは使っていません。

アクチュエーション

最終的にはエアコンと加湿器が操作されるわけですが、この部分の実装は、前者は Nature Remo の API、後者は非公式の野良 API で制御しています。

アクチュエーションの部分

Nature Remo の API を叩く役は、AWS の所定の Lambda に一任しています。加湿器も同様ですが、こちらは非公式 API の都合上、ローカルネットワーク内からしか制御できなかったので、Lambda からいちど IoT Core の MQTT トピックに命令をなげ、それをローカルネットワーク側から購読して後続の処理をトリガさせています。ここだけは Node.js です。

加湿器は、モデルの選定がなかなかたいへんでした。加湿器に限らず何らかの家電を外部から自動制御する場合、

  • スマートコンセントを利用する
    • コンセントが通電したら目的の動作が開始される仕様である必要がある
  • スマートスイッチ(SwitchBot など)を利用する
    • 目的のボタンが、物理的にスマートスイッチで押下できる形状であり、かつスマートスイッチの力で押せるだけの硬さである必要がある
  • スマートリモコンを利用する
    • RF ではなく赤外線を利用したリモコンで制御できる機器である必要がある
  • 専用の API を利用する
    • API が公開されている必要がある

のいずれかの条件を満たす必要がありますが、加湿器でこれに合致するモデルが全然見つけられませんでした。大体の加湿器は、コンセントの通電後にさらにボタンを押さないと動作しませんし、ボタンの周辺の形状や寸法やボタンの硬さは公開されていませんし、リモコン付きのモデルでも赤外線でなく RF ですし、公式の API はなさそうですし。

結局、公開されていない API を無理やり叩ける非公式のライブラリが存在していてハックの余地がありそう、ということがわかった Oittm のアロマディフューザー を採用しています。ただしこれも、

  • 非公式のライブラリ で制御できるようにするには、公式アプリケーション Tuya Smart の旧バージョン(3.12.6 以前)を使って、MITM 攻撃的なヤツでアプリケーションの通信を自分で盗聴してキーを入手しないといけない
  • ライブラリが Node.js 向けしかない
  • そもそもの加湿器自体が小型でとても非力で、リビングなど広い空間の加湿には向かない

など、ベストとは言い難い状態です。改善の余地ありです。

インタフェイスとインタラクション

インタフェイス役の LINE ボットに話しかけると、LINE の Messaging API 経由で AWS の Lambda に届いて、メッセージ本文がパタンマッチされてその内容に応じて後続の処理がトリガされます。

インタラクションの部分

エアコンの操作であれば Nature Remo を制御する Lambda を呼びますし、加湿器の操作であればそれ用の別の Lambda を呼びます。センサのデータが必要な処理であれば、外部のデータベースに必要なデータを取りに行く Lambda を呼びます。

インタフェイスとしての LINE

グラフを要求された場合は、InfluxDB からデータを取ってきて matplotlib で描画したあとに S3 に保存し、それをプッシュでユーザに送ります。描画する対象(温度、湿度、気圧……)と長さ(N 分、M 時間)はメッセージ本文から都度判断します。

実際に生成されたグラフの例

この辺りの処理では、

  • グラフ要求のメッセージが来たら、受理した旨の返事を後続処理に先行して即座にしてしまい、画像の生成と送信はあとから非同期で行う
    • グラフの生成に時間がかかるため、 同期的に処理させると(Lambda ではなく)API Gateway がタイムアウトする
  • S3 のバケット名や画像ファイル名をなるべく短くする
    • LINE で画像を送るときは、画像そのものではなく画像の URL を送る必要がある
    • Lambda で発行する S3 の署名付き URL は 1,000 文字前後とめちゃくちゃ長い(x-amz-security-token が含まれるため)
    • LINE 側の制約で、URL は 1,000 文字以内でないとエラーで送れない
    • 署名付き URL ではなくパブリックな URL にしてしまうのは気が引ける
    • バケット名やファイル名は URL に含まれるため、短くすることでギリギリ 1,000 文字以内になる

などの工夫が必要でした。特に二点目はひどい回避策ですが、あまり権限をがばがばにはしたくなかったので仕方なく……。

また、LINE とはまったく関係ないところで、Grafana を PWS で動かしており、そこでもグラフを見られるようにしています。

感触とロードマップ

センサの値がグラフで見られるのが、実際に使ってみると思っていた以上におもしろかったです。

例えばエアコンをつけてから温度が上がっていく様子や、朝起きて部屋で人間が活動しだしてから二酸化炭素濃度が一気に上がる様子、逆に家が無人になってから下がる様子、キッチンで火を使う調理を始めたタイミングなど、思っていた以上に生活パタンが可視化されることがわかりました。

また、二酸化炭素濃度や気圧の変化では眠気や頭痛の誘発なども懸念されるので、体調に違和感を覚えたときに客観的な変化をすぐ確認できるのはうれしく、体調管理面でも地味に役立っています。

運用面では、Lambda まわりをすべて CloudFormation で定義したことで、コードの管理とデプロイがだいぶに楽になりました。クラウド側がマネージドサービスとサーバレスアーキテクチャだけで組めているのも安心感があります。

ただ、本エントリの途中で、

参加したイベントの性質上、なるべくたくさんの要素技術を取り込んだほうが評価が上がる仕組みだったため、あえてまわりくどく冗長な構成になっている部分もあります

と書いた通り、正直なところ機能に比較して実装が大げさすぎるので、この辺はスリムにしたいと思っています。

イベントはもう終わったので、現状のゴテゴテ感を保つ意味はあまりなく、例えば、

  • この規模だと EdgeX Foundry の恩恵は受けにくいので、まるっと削って Raspberry Pi から直接クラウドに投げてもよいだろう
  • データの蓄積場所も AWS の DynamoDB などにしてしまえば、PWS も InfluxDB も Redis も MongoDB もいらなくなり、AWS に全部寄せられるだろう
  • いっそ Raspberry Pi も AWS IoT Greengrass で AWS から管理させるとよいのでは

などのダイエットや試行錯誤を検討中です。とくに Greengrass は完全に未修分野なので純粋に興味もあり触ってみたいですね。

物理的には、加湿器をもう少し高機能(大容量)かつ自動制御しやすいものに替えたい気持ちがあります。オンオフは自動で制御できても、給水が自動化しづらいので、結局は人間の介入が必要な状態になってしまっており、人間が手を抜くにはタンクの容量がキモになりそうだと考えています。

関連リポジトリ

一覧します。

  • raspi-airmeasurment
    • Raspberry Pi 上で動作させる、各種センサ値を読み取って MQTT トピックに送る Python プログラム
  • edgex-lab-raspi
    • Raspberry Pi から MQTT トピックに送られた値の取り込みや、クラウドへのエクスポートを行えるように構成した EdgeX Foundry の Docker Compose ファイル
  • edgex-lab-export2db
    • PWS 上で動作させる、EdgeX Foundry からエクスポートされたデータを各種データベースに保存するためのプログラム群
    • Telegraf 用のイメージは Docker Hub の kurokobo/edgex-lab-telegraf に配置済み
  • grafana-with-flux
    • PWS 上で動作させる Grafana
  • sam-smarthome-api
    • AWS 上で動作させる一連の Lambda 群
  • tuya-mqtt
    • MQTT の配信を受けて加湿器をコントロールする Node.js プログラム